このマンション、地震に強いんですか?

From 野城
オフィスより…

このマンション地震に強いんですか?

「このマンション地震に強いんですか」「地震は大丈夫ですか」最近、このような質問、ほとんど聞かれなくなった。メディアでは大地震について取り上げられているが、震災から4年。あの時の記憶は徐々に薄れ、違う世界で起こるもののように聞こえるのかもしれない。実をいうと僕も同じ。やっぱり人ごとのように感じてしまう。
震災直後のマンション販売は都心部、湾岸エリア回避、そして、地盤の良い場所のニーズが急激に伸びたことがあった。 この時、僕はブログでこのようなことを書いた覚えがある。「一時的なもの、すぐにニーズは戻る」正にその通りになった。やはり「マンションニーズは利便性にあり」なんです。

今日は「耐震」の話をしようと思う。
マンションの構造については大勢の人が書いているし、僕はこういう目的の記事はあまり書いていない。しかし、今日は書きたい気持ちなので「マンションと耐震」、あなたと一緒に考えてみたい。

あらためて、マンションと耐震について考える。

中高層マンションのほとんどが耐震構造に当てはまる。でも、5階建と18階建のマンションでは揺れの感じ方は違う。断然、低い建物の方が地震エネルギーにより建物の振られる幅が少ない。
もし、あなたが肩を大きく揺さぶれたとしたら、頭がクラクラするだろう。でも、小さく揺らされただけならそれほど体への影響はない。これと同じ。同じコンクリート造でも階によっても感じ方が違うんだ。

ココで少し建築士らしいコメントをしてみよう。

「耐震(構造)とは」
建物が大きな地震エネルギーに耐え、壊れたり傷んだりしないことだ。でも、どれくらいまで耐えることができるのか、

  • 震度4~5 建物躯体(柱、梁など)に損傷がないこと。
  • 震度6~7 躯体の損傷はあるが人命が失われないこと。

うぁ~、やばいね。これ! 
震度6~7で人は死なないけど建物にはかなりのダメージが出ちゃうということだよね。
 
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建築基準法は最低基準(悪いという意味でなく、最低これだけは守りなさいという意味)、だから建築基準法を守らない設計者や施工者などはそれ以下となるということだ。
施主の要望に応えるため、少しの違反は仕方ない。聞こえはいいかもしれないが、プロとしてどうだろうか。
実は建築にはこういう慣習があり、僕が20代の頃、設計事務所に勤めていた時は、極普通に行われていたことでもある。そして、この温床が耐震偽装につながったのかもしれない。

久しぶりに耐震偽装なんて言葉も出してみた。あなたも聞いたことがある程度になってしまっているかもしれない。あれから、建築制度の厳格化が行われ整備されてきたが、どうだろう? 近年、大手不動産会社が提供するマンションでも、杭の不祥事が発覚した、耐震偽装からまだたった8年位しかたっていないのに・・・。

ど~ん!(机を叩く音) これでいいのか!!
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耐震構造とは・・壊すこと!?

さて、さて、耐震構造の本質は「壊す」という言葉が当てはまる。でも、壊すといっても「倒壊」とは違う。建物が大きく揺れている時に柱と梁に余計な負担を掛けずに、本来の耐力をきちんと発揮されるよう考えられた構造となっている。
余計な負担とはどういうものかというと、構造耐力上計算されていない壁などがそれにあたる。(建築では雑壁と言っている)この壁が柱と連続していると余計な力が加わるということ。そのため、大きな揺れが来たら、壁と柱を独立させるようにスリットをいれて計画するんだ。これを構造スリットと呼んでいる。

構造スリットとは建物が大きな揺れの影響を受けた時、スリット部分が壊れ、柱と壁を分断するような構造となっている。そして、 柱と梁が健全に働き、地震に耐え倒壊しないような構造としている。
その他、耐震壁というものある。耐震壁は戸境壁として計画されていることが一般的だ。中には計画よって耐震壁がなく、乾式耐火遮音壁のマンションもある。これについては、今後の話題にしたいと思う。

実はこの構造スリット、計画ミスや施工者不良があるのも事実だ。不良があれば適切にスリットが働かない。そうなると、柱や梁が計算にない「力」が加わってしまうことが懸念されるんだ。だから、供給者はしっかりとチェックをしないといけない。

人が造るものだから・・・!?

最後に、あなたにも一緒に考えてもらいたいので、今回はこんな話で終わろうと思う。
12~13年前に学者である僕の先生からこんなことを教わった。
「大切なところ、リスクがある、難しい点、これが分かっているなら、この部分に神経を集中して仕事をしないといけない、プロなんだから。」だから、人が造るものだから・・・というのは言い訳に過ぎないよ。
当たり前のことなのかもしれないが、僕はこの言葉を聞いた時、カミナリに打たれるような強い衝撃であったことを今でもはっきりと覚えている。
プロフェショナルであるということが・・・・、
どういうことであるかを考えて、自覚して仕事をしないといけませんね。
 
今日は耐震の話から「仕事への想い」の話。「あなたと一緒に考える」ではなく僕の一方的な話になってしまった。ごめんなさい。
 
 
それでは、
ーのしろ
 
 

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